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庭作業の事故を防ぐ|脚立・刈払機・刃物で起きていることと、自分でやらない線引き

造園ナビ編集部

庭の手入れで起きる大きなけがは、特別な作業ではなく、毎年くり返している作業の中で起きています。脚立に上がって枝を切る、刈払機で草を刈る、剪定ばさみを片づける。消費者庁や国民生活センター、製品評価技術基盤機構(NITE)が公表している事故の記録を読むと、その多くが道具の故障ではなく、使い方と、その日の条件から起きていることが分かります。

このページでは、公的機関の資料に書かれていることだけを根拠に、庭作業でどんな事故が起きているか、自分でやらない作業をどこで線引きするか、脚立・刈払機・刃物それぞれで守ることを整理します。数字や事例は、本文中に示した機関と資料名のものです。

公的機関の記録に残っている、庭作業の事故

どの作業で、どんな形のけがが起きているのかを先に知っておくと、どこに気をつければよいかが具体的になります。以下はいずれも、公的機関が集めた事故情報をもとに公表されているものです。

脚立・はしごからの転落は、庭木の剪定中が最も多い

消費者庁の公表資料「脚立・はしごからの転落に注意!~庭木の剪定、屋根修理で、死亡事故の危険も~」(平成26年12月22日)では、脚立・はしごからの転落事故の情報が437件寄せられ、頭部を強打して死亡に至ったものが8件あったとされています。年齢が分かるものでは50歳以上が7割強を占め、発生時の状況では「庭木の剪定」が最も多く、次いで「屋根の修繕」でした。

転落の原因は、製品の破損よりも使い方とバランス

同じ資料では、原因が分かっているもののうち製品の破損によるものは1割に満たず、使い方が正しくなかったもの、昇降時や作業中にバランスを崩したものが大半とされています。製品評価技術基盤機構(NITE)の「事故の約4割が60代以上!『はしごの上で作業しない』『脚立にまたがらない』」(令和4年9月16日)でも、2017年度から2021年度の5年間に通知された「はしご・脚立」の事故162件のうち、事故原因の半数近くが使用者の不適切な取り扱いや不注意によるものとされています。

刈払機では、刃との接触と飛んでくる物

消費者庁と国民生活センターの「刈払機(草刈機)の使用中の事故にご注意ください!」(平成29年7月20日)では、刈払機の使用中に指を切断した、骨折したなどの事故情報が平成21年9月から平成29年6月末までに計140件寄せられ、被害者の約半数が60歳以上とされています。医療機関ネットワークに寄せられた112件の内訳では、接触・巻き込みによる事故が76件、飛散物による事故が20件でした。

件数は各資料の公表時点で集計されたもので、すべての事故を網羅したものではありません。読み取れるのは件数の大小よりも、事故がどんな形で起きているかのほうです。

自分でやらない作業を、先に決めておく

作業の途中で「ここまでにしておこう」と判断するのは難しいものです。枝が目の前にあると、もう少しだけ手を伸ばしたくなります。どこから先は頼むのかは、脚立を出す前に決めておきます。

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    脚立の上で、体を伸ばさないと届かない高さ

    手を伸ばしてようやく届く枝は、脚立の位置を変えても届きにくいままです。身を乗り出す、天板に乗る、という使い方に寄っていくのがこの高さです。消費者庁のアンケートでも、転落やひやっとした経験の直前の行動として、身を乗り出しての作業と天板に乗っての作業が挙がっています。届かないと分かった時点で、そこから上は頼む範囲にします。

  2. 02

    電線に近い枝

    枝が電線に触れている、あるいは近い場合は、切った枝がどちらに落ちるかを自分では制御できません。触れていなくても、のこぎりや高枝ばさみが届く距離なら同じです。台風のあとに電線へ掛かった枝の扱いは、台風・強風のガイドで別に整理しています。

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    幹が太い木、高さのある木を切り倒す・大きく切り詰める作業

    太い幹や枝は、切った瞬間に重さが一気に動きます。倒れる方向を決める作業には、木の傾きや重心を読む判断が要ります。チェーンソーを使った伐木は、仕事として行う場合には特別教育が必要な業務とされています(後述)。家の庭であっても、同じ重さの木を扱うことに変わりはありません。

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    屋根や塀の上に乗らないと届かない枝

    消費者庁の資料には、塀に上って枝を切っていて転落した例があります。足場が建物や塀になる時点で、庭作業の範囲を超えています。屋根に掛かる枝は、建物側の作業として頼む相手を考えます。

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    体調や天候が、いつもと違う日

    線引きは場所だけで決まるものではありません。消費者庁の資料には、朝に飲酒したあと、地面が砂利で不安定な場所で脚立に乗り、3メートルほどの高さから転落した例が載っています。いつもならできる作業でも、その日の条件が悪ければ見送ります。

台風や強風のあとに折れた枝・傾いた木を自分で触らないほうがよい状態は台風・強風への備え、自分でやる範囲とプロに頼む範囲の分け方はDIY庭づくりガイド、木を切り倒す作業を頼む場合の考え方は庭木の伐採費用相場と業者の選び方で扱っています。

脚立・はしごは「どこに立てて、どこに乗るか」

消費者庁とNITEの資料に共通しているのは、脚立・はしごの事故は、使い方の注意を知らないか、知っていても守られていない場面で起きているという点です。庭で使う場合に特に関係する点を挙げます。

天板には乗らない、座らない、またがない

消費者庁の資料では、脚立の天板をまたがない、はしごの上から3段目以上に乗らないといった使用上の注意を知らないと答えた人が4割以上いたとされています。NITEも『脚立の天板には乗らない・座らない・またがない』を注意点に挙げています。脚立にまたがって剪定していて転落した例も、消費者庁の資料に載っています。

はしごの上で作業しない

NITEは『はしごの上で作業しない(作業する場合は脚立を利用する)』としています。はしごは上り下りのための道具で、上で両手を使う作業には向きません。枝に立て掛けたはしごは、枝がしなった分だけ足元がずれます。

平らで固い場所に立てる

消費者庁の資料では、平らでない場所で使ってはいけないことは多くの人が知っている一方で、実際にはタイルの床、玉砂利の上、平坦でない土の上などで使って事故が起きているとされています。庭は、ほぼ全面がこの条件に当てはまります。脚を置く場所を先にならし、沈まないかを確かめてから上ります。

開き止めを確実にロックする

NITEは、開き止め具をしっかりロックし、安定した地面に設置することを挙げています。消費者庁の資料には、サイドの固定をしていなかった脚立が開いて倒れ、入院に至った例があります。

はしごは立て掛ける角度と、支える人

消費者庁の資料では、はしごの立て掛け角度は75度が最も安定するとされ、この点を知らなかったと答えた人も4割以上いました。また、はしごを使うときは補助者に支えてもらうことが挙げられています。一人ではしごを上っていて、はしごごと倒れた例も載っています。

物を持ったまま上り下りしない

消費者庁のアンケートでは、転落やひやっとした経験の直前の行動として、身を乗り出しての作業、荷物を持ちながらの昇降、天板に乗りながらの作業が挙がっています。いずれも取扱説明書で禁止されている使い方です。道具は先に置いておくか、下から渡してもらいます。

NITEは、使う前に製品の注意表示を確認して守ることに加え、補助脚の付いたはしごや上枠の付いた脚立など、より安全に使える機能の付いた製品を選ぶことも挙げています。持っている脚立の注意表示を一度読み直すところから始めてください。

刈払機は、刃より先に周りを見る

消費者庁と国民生活センターの資料では、刈払機はもともと農作業や林業などで使われてきた機器で、いまはホームセンターやインターネットで個人でも簡単に買えるようになっている一方、仕事で使う場合には労働安全衛生法による技能講習や特別教育に準じた安全衛生教育が推奨されている機器だと説明されています。資料が挙げている注意点を、庭で使う場面に沿って並べます。

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    保護具を着けてから、機械を点検する

    消費者庁と国民生活センターは、ヘルメット、保護メガネ、防振手袋などの保護具を必ず着け、事前に機器を点検してから作業するよう呼びかけています。軍手は刈刃に巻き込まれる危険があるので使わないこと、刈刃の欠けやネジの緩みを使用前に確かめることも挙げられています。

  2. 02

    作業する場所の石・枝・針金を先に拾う

    同じ資料には、落ちていた針金が刈払機に巻き込まれて飛び出し、胸に刺さった例があります。国民生活センターのテストでは、20〜30ミリの石を刈刃に当てた場合、最も遠くまで飛んだのは4枚刃で約67.8メートルでした。庭は家や車、隣家が近い場所です。テスト結果からのアドバイスとして、近くに人がいる場所や自動車・家屋の近くでは十分な飛散防止対策を講じること、異物の多い場所ではナイロンコードカッターを使うことが挙げられています。

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    周りに人がいないことを確かめる

    作業中は15メートル以内に人を立ち入らせないこと、人や車が近づいたら作業をいったん止めることが呼びかけられています。周りの人がやむを得ず近づくときは、前方から声をかけ、刈払機が確実に止まったのを確かめてから近づくこととされています。家族が庭に出てくる時間帯は避けます。

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    刃の跳ね返り(キックバック)が起きる位置を避ける

    回転中の刈刃が障害物や地面に当たると、回転と反対側に勢いよく跳ねることがあります。資料では、刈刃の左側の前3分の1で刈ること、刈刃を左右に大きく振り回さず右から左の一方向に動かすことが示されています。建物の際や障害物の多い場所では、刈払機を使わずに鎌などで手刈りすることも検討するよう書かれています。

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    詰まった草を取るときは、必ず止めてから

    絡まったツタを取ろうとして手が巻き込まれた例が載っています。レバーから手を離していてもエンジンを切らないままだと、異物が外れた瞬間に刃が動き出すことがあります。エンジンを切る、バッテリーやコンセントを外すなどして、完全に止まったのを確かめてから取り除きます。NITEも草刈機の事故事例を紹介した製品安全情報マガジンで、刃に絡まった草などを取るときは必ずエンジンを止めるよう呼びかけています。

草が伸びる前に面を変えて、刈払機を出す回数そのものを減らす考え方は庭の雑草対策の選び分け、芝の刈り込みの頻度は芝生の手入れガイドで扱っています。

剪定ばさみ・のこぎり・チェーンソーの扱い

刃物のけがは、切っている最中だけでなく、上り下りの途中や片づけの最中にも起きています。道具ごとの使い方より、どの場面で刃物が体の近くに来るかを意識するほうが防ぎやすくなります。

刃物を持ったまま、足場の悪いところに上がらない

消費者庁の「ご家族など身近な方で高齢者の事故を防止しましょう!」(平成29年9月13日)には、高さ1メートルの塀に上って枝を切っていて転落し、剪定ばさみで頬を刺した例が載っています。刃物と転落が重なったものです。脚立に上がるときは、はさみやのこぎりを手に持たず、腰に下げるか下から渡してもらいます。落ちるときに手に刃物があると、けがの形が変わります。

刃の掃除や手入れは、手袋をしてから

同じ資料には、剪定ばさみを指先で掃除していて指を切った例もあり、手袋をしていない状態で起きています。作業が終わったあとの片づけの時間も、刃物を扱う時間です。

電動の道具は、触る前に電源から切り離す

消費者庁の資料には、電動の工具で作業中、電源を切らずにおがくずを捨てようとして指を巻き込んだ例が載っています。生け垣用の電動ばさみなども含め、刃のまわりに手を入れる前には、スイッチではなく電源そのものを切り離します。

チェーンソーは、仕事では教育と保護衣が求められる道具

労働安全衛生規則では、チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理または造材の業務は、特別教育が必要な業務とされています(第36条第8号)。またチェーンソーで伐木や造材を行うときは、下肢の切創防止用保護衣を着用させることが事業者に義務付けられています(第485条)。これは事業者と労働者に向けた規定で、個人が自宅の庭で使う場合に直接かかるものではありませんが、それだけの備えを前提にした道具だということは知っておく価値があります。

どの枝をどこで切るかという剪定そのものの考え方は剪定完全ガイド、生け垣の刈り込みの時期と範囲は生垣の手入れ、切った枝の出し方は剪定枝・刈った草の処分方法で扱っています。

作業の前に決めること、一人で作業しないこと

消費者庁の資料に載っている事例には、一人で作業していて、倒れているところを家族が見つけたというものが少なくありません。事故そのものを防ぐことと同じくらい、起きたときにすぐ気づいてもらえる状態にしておくことが大切です。

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    作業を始める前に、家族や周りに告げる

    消費者庁と国民生活センターは、家庭で刈払機を使う場合は事前に家族や周囲の人に告げ、家族は防護具の準備ができているか一緒に確認するよう呼びかけています。長時間の作業では、ときどき声をかけることも挙げられています。

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    一人で作業していると、助けを呼べない

    消費者庁の「ご家族など身近な方で高齢者の事故を防止しましょう!」では、一人で作業していて事故が起きた場合はすぐに救助を呼べない可能性が高く、処置が遅れるおそれがあるとして、作業前にはひと声かけるよう本人に伝えておくことを勧めています。剪定中にはしごから転落し、倒れているところを家族が見つけて救急搬送された例も載っています。

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    その日の作業内容を、家族が知っておく

    同じ資料では、身近な人が、その日の作業内容、服装、体調、天候、作業環境を確認し、不慣れな作業や危険な場所、体調が悪いときなどは作業を控えるよう呼びかけたり、代わりに行うことを検討したりするよう書かれています。高い所の作業だけでも、誰かがいる日に回します。

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    体の衰えは、本人が感じているより先に進む

    同じ資料では、高齢者が問題なしと評価した動作でも、測ってみると重心の揺れが大きく、本人の認識と実態にずれがあることが紹介されています。消費者庁の脚立の資料も、自らの身体能力を過信せず、高所での作業は避けることを挙げています。去年できたことを基準にしないことが、線引きの出発点になります。

暑い時期の作業時間の取り方は夏の高温と水やり、毛虫や蜂の巣など触れる前に確かめたいものは庭木の害虫と病気の見分け方、手入れの量そのものを減らす方向は庭じまいという選択で扱っています。

よくある質問

Q. 低い脚立なら、一人で使っても大丈夫ですか。

A. 高さが低くても事故は起きています。消費者庁の資料には、約1メートルの高さの脚立の最上段に上って倒れ、頭部の骨折などで入院した例や、傾いた地面で脚立が滑り、1メートルの高さからコンクリートに落ちて入院した例が載っています。高さよりも、天板に乗らない、平らで固い場所に立てる、開き止めをロックするといった使い方のほうが効いてきます。

Q. 刈払機は、どんな場所なら使わないほうがよいですか。

A. 国民生活センターは、近くに人がいる場所や、自動車や家屋の近くではなるべく刈払機を使わないよう呼びかけています。住宅の庭は、まさにこの条件に当てはまることが多い場所です。使う場合は、先に石や枝、針金を拾い、飛散防止カバーを確実に付け、15メートル以内に人がいないことを確かめます。建物の際や障害物の多い場所は、鎌などでの手刈りも選択肢です。

Q. どのくらいの木から、業者に頼むべきですか。

A. 木の大きさだけで決める基準は、公的な資料には示されていません。このページでは、脚立の上で体を伸ばさないと届かない、電線に近い、太い幹を切り倒す、屋根や塀に乗らないと届かない、のいずれかに当たるものを頼む範囲として整理しています。迷う場合は、作業そのものを頼むかどうかとは別に、現地を見てもらって判断を聞く方法もあります。

Q. 暑い時期の庭作業で気をつけることは何ですか。

A. 消費者庁と国民生活センターの刈払機の資料でも、気温が高い季節の長時間の作業には熱中症の危険があるとして、休憩や使用の中止を促すなど周囲の協力が大切だとされています。暑い時期の作業時間の考え方や、庭木側の高温対策は、夏の高温と水やりのガイドで扱っています。

Q. 親が一人で庭木の手入れを続けていて心配です。何から話せばよいですか。

A. やめてほしいと伝える前に、作業の前にひと声かける、高い所は誰かがいる日にする、という二つを決めるところから始めると話が進みやすくなります。消費者庁の資料も、作業前のひと声と、その日の作業内容や体調を身近な人が確認することを勧めています。高い所だけを頼み、足元の作業は続けるという分け方もできます。

このページで参照した公的機関の資料

本文の数字と事例は、以下の資料から引用・要約したものです。件数は各資料の公表時点のものです。最新の注意喚起は、各機関のページで確認してください。

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本ページにはPR(広告)を含む場合があります。掲載情報は2026年10月12日時点のものです。