庭のカシ・ナラ類とナラ枯れ|被害木の見分け方と、伐採する時期・相談先
シラカシ・コナラ・クヌギ・マテバシイなどの庭木は、ナラ枯れの被害を受けることがあります。根元に木くずが落ちている、幹に小さな穴が多数ある、夏に急に枯れた、という場合は注意が必要です。 本ページでは、林野庁と多摩市の資料をもとに、被害を受ける樹種、見分け方、予防、枯れた木を伐採する時期と処分の注意、相談先を整理します。
ナラ枯れとは
林野庁によると、ナラ枯れは、カシノナガキクイムシ(体長4.5〜5.0ミリメートル)が媒介するナラ菌により、ミズナラ等が集団的に枯れる被害です。 虫が集合フェロモンによって健全なナラに集中的に入り込み、その際にナラ菌を持ち込みます。菌が広がって細胞が死ぬと道管が目詰まりし、水を吸い上げられなくなって枯れます。
林野庁は、ナラ枯れ被害は7〜8月頃に急速に枯れ、11月以降に枯れることは少ないとしています。令和7年度の全国の被害量は、前年度比113%の約21.2万立方メートルでした。
被害を受ける樹種
多摩市は、ブナ科(ブナ属を除く)の多くの種で被害が確認されているとして、次の例を挙げています。庭木や生垣に使われるシラカシ、ウバメガシ、マテバシイも含まれます。
コナラ属
ミズナラ、フモトミズナラ、コナラ、クヌギ、アベマキ、カシワ、イチイガシ、アカガシ、アラカシ、ウラジロガシ、シラカシ、ウバメガシ等
クリ属
クリ
シイ属
スダジイ、ツブラジイ
マテバシイ属
マテバシイ
多摩市によると、穿孔を受けても樹木の防御反応により、すべてが枯死に至るわけではありません。また、ナラ類やシイ・カシ類以外の植物への影響が出た事例はなく、人体やほかの動物への影響もないとされています。
被害木の見分け方
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木の根元にフラス(木屑)が落ちている(多摩市)。林野庁も、被害木には大量のフラス(カシノナガキクイムシが孔道を掘った木くずや糞などが混ざったもの)がみられるとしています。
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幹に直径約1〜2mmの穴がたくさん空いている(多摩市)。
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梅雨明け後から晩夏に急に枯れる(多摩市)。林野庁は、多くのナラは7月下旬頃から8月中旬にかけて葉が変色し、枯死に至るとしています。
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葉が赤褐色や茶色に変色し、落葉しない(多摩市)。
ナラ枯れ以外の原因も含めた枯れの確認方法は庭木が枯れたかどうかの見分け方、ほかの害虫との見分け方は庭木の害虫と病気で解説しています。
まだ枯れていない木の予防
ビニールの被覆・粘着剤の塗布
林野庁は、予防の手法(秋〜春)として、健全な木にカシノナガキクイムシが入るのを防ぐため、粘着剤等の塗布またはビニールシートの被覆を挙げています。多摩市も、虫が入る前に樹幹にビニールを巻いて穿入を防ぐ方法を紹介しています。
殺菌剤の樹幹注入
林野庁は、殺菌剤の樹幹注入により、樹木を枯らすナラ菌や、カシノナガキクイムシの餌となる酵母等を殺菌し、枯死や繁殖を防ぐ手法を挙げています。
薬剤を使う場合は近隣への説明が必要です
多摩市は、殺菌剤や被膜剤の塗布などで薬剤を使用する場合は、近隣への十分な説明と配慮が必要としています。また、いずれの方法でも完全な予防は難しいため、被害を早く見つけ、初期の段階で防除することが重要としています。
薬剤を使う場合の近隣への配慮は住宅地で庭木の消毒を行う・依頼する場合で解説しています。
枯れた木を伐採する時期と処分の注意
- 01
時期:11月から5月頃まで
多摩市は、駆除のための伐採・焼却の実施時期を11月から5月頃までとしています。林野庁も、伐倒駆除の手法を秋〜春とし、被害木の中のカシノナガキクイムシが羽化して脱出する前に、くん蒸または焼却を行うとしています。林野庁によると、新成虫は主に翌年の6月から8月に脱出し、その際にナラ菌を持ち出します。
- 02
幹は持ち出して焼却またはチップに
多摩市は、被害木を伐倒した後、幹は持ち出して焼却またはチップ(リサイクル)などにするとしています。チップにする場合は、できるだけ細かくし、18℃以下で十分に乾燥させます。
- 03
切り株にも虫が残っている可能性があります
多摩市によると、残った切り株にもカシノナガキクイムシが生存している可能性があります。一般的には農薬によるくん蒸処理が標準とされていますが、市街地では健康上の問題から、実施する場合は近隣への十分な説明と配慮が必要としています。多摩市は、切り株をノコギリ等でメッシュ切りにして筋を入れ、冬の乾燥した空気にさらす方法を用いる予定としています。
林野庁・多摩市の資料のとおり、ナラ枯れの被害木は幹や切り株の中に虫が残っている可能性があります。伐った幹を庭に置いたままにせず、処分方法まで決めてから伐採します。
自分の庭の木で見つけた場合の相談先
多摩市は、自己所有の樹木にナラ枯れの被害があり、すでに枯れて倒木の危険がある場合は、所有者の責任で処理する必要があるとしています。そのうえで、伐採等の処理は個人では難しいと思われるため、専門の造園業者等に相談することをすすめています。
枯れていない樹木については、状況に応じた措置を専門機関に問い合わせる必要があるとしており、多摩市では環境政策課が相談を受け、東京都の森林関係の部署を紹介するとしています。相談先は自治体によって異なるため、お住まいの市町村の環境・緑化の担当窓口に確認してください。
木を残せるかどうかの診断を受けたい場合は樹木医に相談する場面もご参照ください。
業者に依頼する際の確認事項
- 01
ナラ枯れが疑われることを伝えます
根元の木くずや幹の穴など、確認できた状態を写真で伝えます。被害木は伐った幹や切り株の扱いが重要になるためです。
- 02
伐採の時期
11月から5月頃までに伐採・処分を終えられるかを確認します。枯れて倒木の危険がある場合は、時期を待たずに対応が必要か相談します。
- 03
伐った幹と切り株の処分方法
幹を持ち出して焼却またはチップにするか、切り株をどう処理するかを、見積もりの段階で確認します。くん蒸を行う場合は、近隣への説明をどうするかもあわせて確認します。
- 04
自治体への相談の要否
業者に依頼する前に、お住まいの市町村に相談窓口があるかを確認しておくと、処分の方法や周辺の被害状況の情報が得られる場合があります。
よくある質問
Q. 庭のシラカシもナラ枯れになりますか。
A. 多摩市は、ブナ科(ブナ属を除く)の多くの種で被害が確認されているとし、コナラ属の例としてシラカシ、アラカシ、ウバメガシ、コナラ、クヌギなどを挙げています。ただし、穿孔を受けても樹木の防御反応により、すべてが枯死に至るわけではないとしています。
Q. ナラ枯れは人に害がありますか。
A. 多摩市は、ナラ類やシイ・カシ類以外の植物への影響が出た事例はなく、人体やほかの動物に影響はないとしています。一方で、ナラ枯れが発生した樹林地では、触れるだけでも危険な猛毒のキノコ、カエンタケが発生しやすいことが報告されているとして注意を呼びかけています。
Q. 枯れた木を夏に伐ってもよいですか。
A. 多摩市は、駆除のための伐採・焼却の時期を11月から5月頃までとしています。林野庁によると、被害木の中で育った新成虫は主に翌年の6月から8月に脱出するため、その前に伐倒・駆除を行う考え方です。ただし、すでに枯れて倒木の危険がある場合は、時期にかかわらず業者や市町村に相談してください。
Q. 自分の庭の木の伐採費用は、自治体が負担してくれますか。
A. 多摩市は、自己所有の樹木が枯れて倒木の危険がある場合は、所有者の責任で処理する必要があるとしています。費用の扱いは自治体によって異なる可能性があるため、お住まいの市町村にご確認ください。
Q. ナラ枯れの被害は増えているのですか。
A. 林野庁は、令和7年度の全国のナラ枯れ被害量が前年度比113%の約21.2万立方メートルであったと公表しています(令和8年9月30日更新)。
本ページで参照した資料
本文の制度・団体に関する記述は、以下の公式ページの記載にもとづいています(2026年11月1日確認)。最新の内容は、各機関のページにてご確認ください。
関連ページ
ナラ枯れが疑われる木の伐採は、伐った幹と切り株の処分方法まで確認したうえで業者に依頼することをおすすめします。
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